2022-02-22
「任意後見制度」という言葉をご存じですか。
任意後見制度とは、将来認知症などになってしまった場合に備えて、あらかじめ信頼できる相手を後見人に決めておく制度のことです。
そこで今回は、任意後見制度による不動産売却とはどのようなものなのかについて解説します。
入間市で将来的に不動産売却を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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所有している不動産を将来的にどうするのかについて考えておくことは、とても重要なことです。
たとえば「自分が認知症になったら、不動産売却をして介護施設に入所する」というつもりでいても、認知症になってしまってからでは不動産売却の契約を進めることはできません。
そのような場合に備えて、十分な判断能力があるうちに、任意後見制度について理解を深めておきましょう。
任意後見制度とは、本人の判断能力が低下する前に後見人になる相手や委任する内容を決めておき、本人の判断能力が不十分になったと見なされたあとに、後見人が本人に代わって委任された事務をおこなう制度です。
人間は、年齢を重ねるごとに判断能力が低下し、人によっては認知症とよばれる状態になってしまいます。
認知症になると、財産管理をはじめ、入院手続きといった重要な契約を進められなくなるため、任意後見人の存在が重要になってくるのです。
不動産売却においても、売買契約時には「相応の判断能力を有していることが必要」と法律上で定められています。
もちろん認知症にならず人生を終える方もいますが、任意後見制度とは、老後を安心して迎えるために必要な準備だといえます。
任意後見人には、基本的に成人であれば誰でもなることができます。
親族をはじめ、信頼のおけるご友人でも問題ありません。
ただし、破産経験のある方や、本人と訴訟をした方など、任意後見人にふさわしくないと法律で判断される相手には依頼できません。
任意後見人の主な仕事は、「財産管理」と「生活や介護面のサポート」です。
財産管理とは、預貯金や年金の管理をはじめ、光熱費といった公共料金や税金の支払いなどをいいます。
本人に代わって不動産売却を進めることも、大切な財産管理の仕事です。
生活や介護面のサポートとは、要介護認定の申請や、治療や入院が必要な場合はその手続きや支払い、老人ホームの手配や入居の手続きなど多岐にわたります。
ただし、実際に後見人が入浴や食事のサポートをするという意味ではなく、あくまで必要な介護サービスなどの手配をすることが仕事です。
後見人には「法定後見人」という制度もあります。
法定後見人とは、未成年者や精神障害などで判断能力が十分ではない人を保護するために、裁判所の手続きによって後見人が定められる制度です。
つまり、任意後見人は将来に備えて自らの判断で後見人を選ぶのに対し、法定後見人は「判断能力がない人」を保護するために裁判所が後見人を選ぶ制度だといえます。
不動産売却においては、法定後見人が本人の不動産を売却する際には裁判所の許可が必要であるのに対し、任意後見人は裁判所の許可がなくても不動産売却を進めることが可能です。
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任意後見人を認定するためには、任意後見契約書を提出しなければなりません。
ここでは、契約の方法をはじめ、必要な書類や費用についても解説します。
代理権の範囲を決めて、後見人となる相手の了承を得られたら、法律的な仕事に精通している公証人が作成した公正証書によって契約が締結されます。
公証人でなければならない理由は、本人の意志を尊重できているのかを確認し、内容が法律に反していないか判断する必要があるからです。
また、公正証書は、公証人の嘱託によって法務局の後見登記ファイルに登記されます。
これにより、後見人は「登記事項証明書」の交付を受けることができ、代理権を有していることや代理権の範囲を証明できるのです。
本人に関する書類
任意後見人に関する書類
なお、印鑑登録証明書、戸籍謄本、住民票は3か月以内に発行したものに限られます。
公証役場への手数料として、1契約につき1万1,000円がかかります。
また、法務局での印紙代が2,600円、登記嘱託料が1,400円です。
さらに書留郵便料は540円、正本謄本の作成手数料として1枚あたり250円が必要になります。
これらの費用は、後見人の管理のもと、本人の財産から支払うと考えておきましょう。
本人の判断能力が低下していても、契約締結の能力があると判断される程度であれば、任意後見契約の締結は可能です。
能力があるかどうかは、医師の診断書や関係者の話をもとに公証人が判断することになります。
ただし、任意後見制度は本人が元気なうちに備えることを本来目的とした制度です。
すでに認知症の兆しが見えているのであれば、法定後見人制度を利用することも検討してみましょう。
判断能力はしっかり保持していても、高齢になると病気や身体的な衰えなどで公証役場に出向けないことがあります。
その場合は、公証人に本人の自宅や病院などに出向いてもらい、契約を進めることも可能です。
ただし、公証役場の手数料が50%上乗せされて1万6,500円になり、日当や交通費の支払いも発生すると考えておきましょう。
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任意後見人が、本人の自宅を売却処分する方法について解説します。
任意後見人が不動産を売却処分する場合、任意後見人にその代理権が認められていれば、基本的に裁判所や任意後見監督人の許可を得る必要はありません。
任意後見監督人とは、任意後見人が契約の内容に合った仕事をしているかを監督する存在で、主に弁護士や司法書士などの第三者が選ばれます。
ただし、任意後見契約に「売却処分の際には監督人の同意を要する」という内容があるのであれば、監督人の同意が必要です。
不動産の名義変更手続きが必要
本人名義の不動産を売却処分するためには、不動産の名義を任意後見人の名前に変更しなくてはなりません。
本人の代理人となって、任意後見人が法務局へ不動産登記の申請をおこないます。
実際の手続きには専門的な知識や複雑な書類への記入が必要になるため、登記申請の専門家である司法書士に依頼するケースが一般的です。
後見登記事項証明書などの必要書類を用意し、司法書士に提出しましょう。
任意後見人が負う善管注意義務とは
任意後見人には、「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」という善管注意義務が課されています。
これは、本人の利益を害するような売却はしてはならないという意味です。
たとえば自分の都合で売却を急ぎ、相場より大幅に値下げして売却処分してしまうと、本人に損害をあたえたと判断されることもあるので注意しましょう。
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今は不動産売却を考えていないという方でも、任意後見人制度について知っておくべきことはたくさんあります。
大切な不動産の用途を最後まで自分の意志で決めるためにも、制度の利用について考えてみてはいかがでしょうか。
不動産売却に関する疑問点は、入間市の有限会社けやきハウジングまでお気軽にお問い合わせください。